「それ以外の理由ってなに?」

『えっ!言うの?』

「隠し事禁止ですよー」


電話の向こうでため息が聞こえた。


『今日あんま桃と話せてないから、せめて同じ景色でも見てたいなぁ〜って思ってな』

「何か嬉しいな…」


モヤモヤしてた心がぱあっと晴れた。

風は冷たいのに心は暖かい。


『桃は何とも思わなかった?』

「えっ!うーん…多少は物足りなく…」

『そっか。良かった』


この空気で間違っても悠翔と帰って来た、何て言えないや。


でもね、蒼。

気持ちを晴らしてくれて、

「ありがとう」