「座るとこあるかな…?」 あたしが探してると、蒼が指を指した。 「みっーけ」 人混みを上手くすり抜けて先に行ってしまう。 内心置いてくなよ!とか思ったりするけど、女心とかに鈍感そう…… と思ったあたしが間違いだったみたい。 蒼は唯一空いてる一人席に鞄を置いて、その席の前の吊り革に掴まってる。 あたしが蒼の隣まで行くと、 「どうぞ」 鞄を避けてあたしに言った。 「えっ?良いの?」 「レディーファーストってやつ?」 「ありがとう」