バスに乗り込む前にあたしと蒼は二人で引いてしまった。

「人口密度たっか…」

「うー…」


人が多過ぎて困ってるあたしの手首を蒼は掴んだ。


「ちょっ…蒼!?」

「俺について来い」

強引に腕を引っ張られるけど…

優しさがある気がする。


人の間をかき分けて、あたしの手を引っ張りながら進んでく。


あたしは席の横にある棒に掴まった。

あたしの後ろには吊り革に掴まった蒼。


「何か…ありがとう…」

「ちゃんと掴まってろよチビ」

「うるさいな」


たくさんの人を乗せたバスだから、少しの動きでも人と人がぶつかる。


だからあたしも…