職員室にはいなかったんだ。
あたし達の後ろの廊下を歩いてくる。
「くくっ…」
蒼はお腹を押さえながら笑いを堪えてるようだ。
「よーし…教室戻ろっか桃?」
「あ、うん…」
あれ?
目的の人物が真後ろにいるのに、何もしないの?
そんな疑問もつかの間…
「もうちょっとだけ近く寄って…?」
「ちょい、ちょっ、何してんの!?」
余裕の表情であたしの腰に手を回してくる蒼。
「いいから黙って俺について来い」
「で、でも…」
あたしはほんの一瞬だけ後ろを振り返って見た。
新藤先生がいかにも怒ってる顔でこちらを睨みつけている。

