先輩は口元に手を当てながら楽しそうに言う。
「廊下で会った時の蒼くんの顔を見て分かったわ。気まずそうな顔してたから」
「あれは…あたしも悪いので…」
「そうなの?…あたしには二人とも仲良さそうに見えたけどなー」
「見えますか?仲良さそうに」
「見えたわよ。ただ…」
ふっと矢野先輩は笑った。
「あの子が彼氏なのは大変そうねっ」
「そうですかね?」
「だって少し子供っぽいし不器用なところがあるし…蒼くんを理解してる桃乃ちゃんはすごいと思う」
「昔っから、そんな感じだから慣れました。一応幼なじみなんです」
「そうだったの…!」

