【蒼詩side】
桃とまともに話せなかった。
昨日見たことを全部聞けば良かったものの、聞けない情けない自分。
がっくりと肩を下げたまま夏月と部活へ行く。
「どうしたー?蒼詩にしては元気ねぇな。これから大好きなバスケなのに」
「お前と違っていつも空元気じゃないだけ」
「うわー冷たい!………あっ!蒼詩!見て、ほら!」
俺は夏月が指差す方向を見ると、
「あ……」
「矢野先輩だ!いつ見ても美人だよなぁー!」
昨日、コンビニでバイトしてた人…。
じーっと見てしまうと目が合った。
ニコッと笑いかけられたけど、確かに美人だ。

