二手合わせ




俺は苦い顔をして頭をかいた後に、はあっと息を吐いて空を見た。


「俺らのせい、なんやろなぁ…」


一人ごとのように呟いた言葉に、


「そらそうだ」


と、良順さんが返した。


「…そないにキッパリ言わんでも」

「事実だろう」

「……まぁ、な。で?恵梨ちゃんはどないするん?」

「あの子に必要なのは『心の休養』だ。飯もしっかり喰って、ちゃんと寝て、休むこと。
あの子にとって信用できる人が傍に居ることだな」


そろそろ中に入ろう、と良順さんに促され、それから恵梨ちゃんを連れて帰った。

結局、恵梨ちゃんは目隠しせんやったみたいで
下を向いて、でも他の人に怪しまれんように目ぇ開けて歩いた。


……今、この子を支えとんのは、早く帰りたいっちゅう気持ちと、俺らに対する恨み。

それが恵梨ちゃんの心の拠り所で、恵梨ちゃんの視界を奪ったもんや。


恵梨ちゃん、治らんかもな。


「もうちょいで屯所や。右に曲がって、ちょいと歩いたら着くで」

「…、はい」


俺は監察方やから、
疑ってかからなアカンから、恵梨ちゃんを信用することは出来へん。

副長も同じ立場や。