私とマキは高校二年生。

夏休みも終わった今、私たち生徒より先生たちが「受験」を意識しはじめていて、ことあるごとに煩い。


「ねー、マキ」


私は水の入ったコップをまわしながらマキに話しかけた。

マキはコップのまわりについた水滴に触りながら返事をした。


「んー?」

「進路って、考えてる?」

「ぜーんぜん!だって、まだ一年以上先のことだよ?」

「ですよねー」


そんなもんだよね、うん。
そのうちパフェがきて、食べながら喋る。


「恵梨って、髪伸ばさないの?」

「だって、ショートだと服装検査に引っ掛からないもん。あ、そっちの一口ちょーだい」

「そーだけどさ、せっかく綺麗なサラサラ黒髪なのに…。え、じゃあ恵梨のもちょーだい」


こんな普通の時間が、続くと思っていた。