「絢華ちゃん、今夜うちに食べに来ない?」


「えっ、佳菜子さんちにですか?」


「うん。里佳も隆も蒼太くんに会いたがっているのよ」


「そうなんですか?そう言ってもらえるのは嬉しいんですけど、あたし、車の運転ができなくなっちゃって」


「えっ……」



佳菜子さんは少し考え込んだあと、



「じゃあ、隼人くんも呼んじゃおうかしら」



隼人さん?



「そしたら、帰りも送ってもらえるじゃない?」


「え、でも、そんなの悪いし」



と言いながら……


結局、隼人さんも一緒に行くことになったんだけど……


正直行かなければ良かったと思った。


今のあたしには……


かなり辛い光景だった。



パパがいて、ママがいて、子供達がいて……


みんな楽しそうに笑ってて……



佳菜子さんは、あたしを元気づけるために誘ってくれた。


でも……


今のあたしには……


ただ“辛い”という感情しか……


出てこなかった。