何度も何度も手首を傷つけた。


何度も何度も…



最終的には飛び降りを強要されそうになった。



マンションの屋上で
「さきちゃん、ママと一緒にジャンプしよう?」



私はさすがに怖かった。
お母さんの顔は笑顔だった。



「ね、いこう?」



私は立ち尽くした。


屋上のフェンスの外、お母さんと5才の私が立っている。



その時だった。
お母さんがバランスを崩した。


下へと傾いた体から白く細い腕が私を捕まえようとした。


私は咄嗟に体を捻った。



落ちていったのは
お母さんだけ。


笑顔のまま涙を流し、下へ下へと落ちていった。