side...実依子
「実依子!」
誰かに名前を呼ばれたと思って
その方向を見てみれば、
その声の主は、なんと佐野先輩だった。
いつもは名字で呼ばれてたのに、
なんか変な感じ。
そしたら、先輩がこっちに近付いてくる。
周りの子のまたまた黄色い悲鳴が聞こえる。
正直うるさいな。
「実依子、今日の放課後 出掛けるから
準備しとけよ。」
「ほぇ?」
あまりにもびっくりして、
変な声が出てしまった。
先輩は、宜しくな、と言って、
ぽん、と、私の頭に大きな手を乗せた。
そして、フッと軽く笑うと、
佐野先輩は行ってしまった…。

