ははっ、
「そんな、夢じゃあるまいし~。
ないない(笑)」
「でも、『夢』なのね?」
あ、今気づいた…。
無意識の内に、私、
佐野先輩が私のこと好きなのが
夢だとか言っちゃって…
なんだか恥ずかしいし、それに…失礼だよね。
そんなこと思ってもいないのに
夢だなんて…
加那は続けた。
「でもさ、例えば…
佐野悠とよく目が合ったり、しない?」
そ、そう言えば…ある。
「それで、不覚にもドキドキしたり、
カッコいいとか思っちゃったり、しない?」
それも…ある。
「その様子からは、あるのね。」
「……。」
「ま、実依子の気持ちがどうであれ
私は実依子を応援するから、
勉強に部活に恋に、
頑張んなさい?」
「う…うん……」
――いつまでも過去にとらわれていちゃだめ。
加那には、そう言われているような気がした。