実依子side 何が起こっているのか把握するまでに、少しだけ時間がかかった。 私……今、佐野先輩に抱き締められてるんだよね? すごくすごく、幸せな気分。 私の頭をなでてくれる先輩の手が、 何より優しくて。 高身長の先輩には届くはずなく、 目の前にある先輩の胸が、何よりあたたかくて。 私も、先輩の背中に、手を回した。