教師に声を掛けられ、入って来たのは男子生徒だった。 黒髪黒目、平均的なルックス。 おっとりとした雰囲気を持った、どこにでもいそうな男子だ。 彼は黒板の前に立つと、愛想よく微笑んだ。 口を開く。 「加藤薫(かとう かおる)です。よろしく」 普通だ。瑞姫は思った。 至って普通の男子だ。 きっとクラスにもすぐ馴染んでいくだろう。