透はその瑞姫の言葉を聞いて、仕方なさそうに肩を竦めた。
差し出していたコートを羽織る。


「……行くぞ」
「うん」


夜明けから降り始めた雪は強く、既に積もっていた。

これは帰ったら雪掻きだな、と言う透に頷いて、そっと透のコートの裾を掴んだ。


「何だよ」
「……何か、転びそう」
「嘘だな」


振り返った透は、瑞姫の頭を軽く小突いた。
痛い、と顔をしかめた瑞姫に気を使いつつも、すたすたと歩く。


「……とことん優しいよね、透は」


少なくとも、人目が一気に増える場所までは、透は瑞姫の手を振り払わないのだろう。
ホッとしたように小さく息をついて、瑞姫は透のコートを掴む指に力を込めた。