笑顔を見せてあたしを見下ろしている人物。



「……あ」

「なにしてんの? お前」



器用に両手で料理を持ったウェイター姿の要。
彼は片眉をピクリと痙攣させながら、口だけで笑った。


ぎゃー!

ばばっ、バレたーー!


「あ、あの……これは……そのっ」


あたしの動揺を見た要ははぁーっと大きな溜め息をついた。



「……もう少し待ってろ」



そう言って要は料理を運んで行った。


見た事ない笑顔で接客している。

 

「……」



バレた……。


あたしは、慣れた手付きで仕事をする要を、口を開けてぽかんと眺めたまま動けずにいた。