矢沢には内緒だけど、

実はその日の朝、俺は矢沢の家に電話をかけた。




昨夜は遅くにすみませんでした、と伝えたかったのと…

眠そうな矢沢の声を聞きたかったから。




電話に出たのは、お姉さんだった。




お母さんはクリーニング屋さんに出かけているらしく、

矢沢は、まだ爆睡中だと…



「矢沢は、お姉さんのこと大好きみたいですよ。」


俺がそう言うと、


『私、あの子に嫌われてるから…』


と言った。