家庭訪問をして、矢沢のお姉さんと会って、俺と矢沢は付き合い出した。



その翌日、水泳帽をかぶった矢沢が涙を浮かべて俺に言った。



『お姉ちゃんと朝ごはん一緒に食べたんだよ!何年ぶりだろう!!』



俺は嬉しそうな顔を見ることができ、安心したが、それ以上に今までのあいつの苦労を想像してしまい、胸の奥が締め付けられるようだった。





朝ごはんを一緒に食べること。


おはようの挨拶をすること。


お姉ちゃんの笑顔を見ること。




そんな当たり前のことが


あいつにとっては奇跡のようなことなんだ。