「明日も会いたいんですけど…水泳の補習、来る?」



気持ちの通じ合った俺と矢沢は

明日会えないことさえ寂しいと感じてしまっていた。




好きだと言わなければ、

何日も会わずにいてもこんなに寂しくはなかった。




心配ではあるけれど、

1週間くらい会わないなんてよくあることだし…




どうしてだろうな…



人間の心って不思議。






俺は



今、帰りたくなくて仕方がないよ。




この幸せを


矢沢と2人で一緒に味わっていたいよ。






明日の補習で会う約束をした俺。


職権乱用…?




いやぁ、違う!!




矢沢にただ泳げるようになって欲しいだけだから!!




「じゃあ、また明日!」



いつまでもいつまでも手を振る矢沢。



俺はかっこつけて、窓から手を出して、その手を振り返す。



バックミラーに映るパジャマ姿の矢沢を


目に焼き付けて…





俺は一人ぼっちの家へ帰る。