「頑張ってみるか?」



俺は携帯電話をポケットから出す。


その携帯電話を矢沢の顔の前で揺らす。



「今の時代はコレがあるから、なんとかなるか?」



矢沢は激しく首を縦に振り、涙を流しながら微笑んだ。


俺は矢沢の向こうに見える窓の外の街灯を見つめた。



矢沢の目を見つめると

俺は吸い込まれそうだった。




「いいの?」


俺の腕にそっと手を添えて、俺の視線の中に入ってくるお前を

心から大事に思う。



「ああ、お前が後悔しないならな。」




俺は心臓のドキドキを隠すように、余裕ぶって矢沢の頭に手を乗せた。