「心配で眠れないから今から会いに行く!」




何度も矢沢は断った。


でも俺は電話をしながら、もう着替えて、家を出ていた。



車のエンジンをかけながら、窓から見える月を見た。



月を見るようになったのも

やっぱり恋をしてからだった。





俺は何をすればいい?




何ができる?




あいつの為に何ができる?





焦る気持ちを抑えて、安全運転を心掛けた。




もしも、俺が死んだら


あいつは泣くから。



俺がいないと


あいつはまた一人で強がってしまうから。




俺がいてやらないと…

だめだから。





俺には


守りたい人がいるから…