俺は、思い出のマウスをツンツンと突っついた。 「この中、見る?」 直は、恥ずかしそうに笑って、俺の腕を叩いた。 あの日、オレンジジュースをこぼした直。 そして、マウスの中の直の気持ちを知った。 あの日・・・ 直がオレンジジュースをこぼさなかったら、今の俺達はいなかったかも知れない。 マウスの中の「スキ」って気持ちは 今も直の心の中に隠されたままだったかも知れない。 「じゃあ、帰るね!先生!」 あっさりと帰ろうとする直。 「あ、矢沢!気をつけて帰れよぉ!」 振り向いた直が・・・・・・