知ってるぞ。


最近、いつもデジカメ持ち歩いて、思い出の場所を写真に撮ってるだろ。


お前は思い出を大事にする子だから。



「教官室も撮っとけば?」


俺が小さな声でそう言うと、直は目を輝かせて微笑んだ。


「やったぁ!!」


小声で喜ぶ直。





「すいません!山本先生!ちょっと写真撮ってもらえます?」



俺は、ソファで新聞を読んでいた体育の先生に声をかけた。




「あ、ちょっと待ってください!!」




俺は冷蔵庫から、オレンジジュースを出し、グラスに注いだ。




「これ、持って!」



笑いを我慢する直に、グラスを渡す。



さっきまでまだ青かった空が、夕焼け色に染まっていた。




「夕日バックでお願いします!」





俺と直の思い出の体育教官室で

思い出のオレンジジュースを持って

思い出の夕日を見ながら。




思い出の一枚。