俺は、矢沢の手を握った。



「うわぁ!」



自分の行動に驚き、とっさに手を離した。




俺は、かわいい眠り姫をもう少し眠らせてあげることにした。



「じゃあ、また様子見に来ます」


俺はドキドキする胸を手で押さえながら、この気持ちが何なのか考えた。


答えがすぐそこにあるのに、俺は気付かないフリをして、足早に教官室へと向かった。



教官室の俺の席から空を見た。


夕焼けと青空が混ざり合う絶妙な美しさだった。



その時思ったんだ。


『見せたい』って。


あいつに。


空ばかり見てるあいつに、この綺麗な空を見せてやりたいって。




◆◆◆◆◆




―ガラガラ


教官室のドアの開く音で、俺は現実へと引き戻された。