俺は、教官室で直が日誌を持ってくるのを待ちながら、懐かしい思い出を思い出していた。





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あの暑い夏の日・・・




「こらぁ!お前ら、俺の話聞いてるか?」



水泳の授業を終えて、着替えた生徒を前に、1学期最後の説教タイム。



「この夏はもう二度と戻らないんだぞ!」



俺の愛の言葉は、しっかりと生徒の心に届いたようだ。


後ろを振り向いて話していた生徒も真剣に俺を見つめた。




「来週から夏休みに入るが、水泳の補習やるからな!嘘付いて、水泳さぼった誰かさんも・・・ちゃんと来い!俺がみ~っちりしごいてやる!!」




俺は、ズル休みの常連だった生徒をチラっと見て、ニヤリと笑う。


俺と目が合ったのは、矢沢直という生徒。


俺にとって、ちょっとだけ気になる生徒でもあった。


なぜかって・・・



それは、なかなかうまく説明できないんだが。




俺がニヤっと笑うと、矢沢も笑いながら、うんうんと頷いた。




「補習、楽しみにしとけよ!!」





どうしてそんなに見つめる?



他の生徒とは違う瞳で俺を見つめる矢沢直・・・