オレンジジュース~俺と一人の生徒~




クリスマスが近付いていた。

どうしようもなく、直に会いたい夜がある。



卒業まであと何ヶ月・・・って指折り数える俺は、複雑な心境だった。


卒業が楽しみなはずなのに、寂しくて。




直にずっと俺の生徒でいて欲しいと思ってしまう。


俺のホームルームをずっと聞いていて欲しいと思う。



想像できね~んだよな・・・

直のいない学校。





俺は車を走らせた。


向かう場所は・・・天使のパン屋。

直がバイトするパン屋さん。


『直~、頑張ってるか?』って店の中に入って行きたいのに、できない俺がいた。



必死で今の生活を頑張る強い彼女を、遠くから見守ろう。



元気な直の姿を見て、家に帰る。


直は、『私の方が好き』って言うけど、実際は俺の方が好きなんじゃないかと思う時がある。



直の笑顔を見るだけで、こんなにも元気になれる。



直が時々学校で話しかけてくれると、どうしようもなく、ドキドキしてしまう。



あぁ、俺・・・恋してるって思う。