あの日、別れていた時のテスト監督の時、俺はずっとお前を見ていたよ。
お前は俺を見ないように必死に頑張っていたんだと、今になって思うよ。
「あと、5分だぞ~!」
俺は両手で小さくハートマークを作った彼女を見つめながら、ニヤける顔を手で隠した。
直は、そんな俺にも気付かずにテストの見直しに夢中。
あと何回、こんなことができるかな。
だんだん近付いてるよ、卒業が。
ずっとお前が俺の生徒だったらいいのに。
そう願わずにはいられない。
俺から見える場所にいて欲しい。
進路に悩む生徒と一緒に俺も相当悩んでいた。
でも、直がいてくれた。
疲れたり、悩んでる俺に笑顔を向けてくれる直の存在が、
俺を支えてくれた。
専門学校へ進学を決めた直。
専門学校に、俺はいないんだぞ。
直・・・複雑なんだよ。
わかるかぁ?
この気持ち。
―キーンコーンカーンコーン