卒業するまで、2人きりで会うのをやめる。
でも前とは違う。
心はいつも一緒。
『卒業まで我慢しような』
辛いけど
寂しいけど・・・
それを伝える為に直のバイト先のパン屋へ向かった。
「いらっしゃいませ!」
元気良く直が自動ドアの方向に笑顔を向けた。
「ひゃ!!」
俺の姿を見た直は、急に顔を赤らめて、おかしな動きをした。
トレイを拭いていた手を止めて、キョロキョロと周りを見回す直。
「やきそばパン、ないですか?」
「あ、売り切れてしまったんです。あの・・・そのロールチョコパンもおすすめなんですけど」
店員と客の会話をしながら。
俺は願う。
どうか、直が悲しみませんように・・・
あの日のように、悲しい涙を流しませんように・・・
伝えなきゃいけないけど、伝えたくない。
やっぱり直との時間は俺にとって
かけがえのない時間だから。

