オレンジジュース~俺と一人の生徒~




「日誌なんて、書いたことないもん・・・」



ふくれっ面で、ブツブツ言う直。



「ん?ごめんごめん。今までどのクラスもチェックしてなかったから」



俺はわざとゆっくりと歩き、直と並んで歩こうとした。


でも、直は俺がスピードを緩めると、同じように直もゆっくり歩いた。




俺達の距離は縮まらないのか?




「元気か?」



俺の質問に直は言った。




「先生は?」



そうだな、お前はいつもそうだった。




俺が心配して声をかけても、逆に俺を心配してくれた。



そんなお前に、俺は恋をした。




『先生元気?』


『先生大丈夫?』 




俺の背中を元気良く叩く矢沢直が・・・好きだ。





「俺は・・・どうかな。お前は?」



「私は・・・元気だよ!!」




無理した笑顔が痛々しい。


直は・・・何を想ってる?



本当に元気だとは・・・俺には思えない。




直も俺と同じように・・・別れたことを後悔しているんじゃないのか?



もしそうなら・・・俺達は、またやり直せるはずだ。