ホワイトデーまであと3日。
俺は、渡せるかどうかわからない白いジャージを洗濯した。
押入れの奥にあった、柔軟剤というものを入れると、ふわふわに仕上がった。
「直・・・渡せるかな。」
最近、少し気持ちが落ち着いてきた。
夜中に怖くて眠れなくなったり、寂しくて泣いたりすることはない。
ただ、何となく悲しくて、『別れ』を受け入れる努力をしていた。
でも、どこかでまだ直が近くにいるように感じていて、こうして時々直に話しかけていた。
終わったんだと言い聞かせる自分よりも、まだ終わっていないと言う自分の方が勝っていた。
「直・・・会いたいよ。」
コーヒーを飲みながら、直を想う。
ふわふわの白いジャージを抱きしめてみた。
俺は、手紙を書くことにした。
このジャージを渡すことができるのかわからないが、もし渡すことができたなら・・・
伝えたいことがいっぱいあるよ。
『マフラーありがとな。一生大事にする。俺はいつまでも待ってるから』
伝えたいことがたくさんあるけど、あまり長い手紙は重いだろ?
俺は、待ってる。
それしか言えない。
本当は、強引に直を抱きしめて、もう一度俺の元に戻ってこい、と言いたいよ。
でも、直は・・・
きっと戻ってこない。
直が自分で選んだ道だから・・・
いつかまた直が俺を選んでくれるまで、待ってる。