「和人から飲みに誘うなんて珍しいな。失恋でもしたか?」



いきなり当てられて、俺は苦笑いをした。



結婚の為に仕事を辞めて、少し時間が空いていた親友の飛田力を呼び出した。



「北海道はいつから行くんだ?」



「来月かな。向こうでちょっとした結婚式をやるから今はその準備で彼女も北海道に帰ってる。」




会わせたかった。


俺の自慢の彼女を見せたかった。




「で・・・どうしたんだ?元気ないじゃん。」




ため息ばかりの俺の背中を力は力いっぱい叩く。




「まぁ、飲め。」




手渡されたビールをのどの奥に流し込む。




ちゃんとした食事も採らず、水ばっかり飲んでいた。



1人で酒を飲むのが怖くて、家でも全く飲んでいなかった。



1人で飲んだらどうなるか、自分でもわかってた。




考えないようにしたって無駄だった。


俺の体も心も、100%直のことばかりだった。



学校へ行くと仕事モードになり、何とか笑顔を取り戻すことができるが、

家では無理だった。