本当にこれで終わったのか、俺達。
あんなに楽しかったのに。
あんなに分かり合えたのに。
本当にさよならするのか・・・
直の背中を見つめた。
涙のせいで、よく見えねぇよ。
「な・・・お・・・」
届かない俺の声。
「なお・・・行かないで・・・」
届くはずのない俺の声が直に届いたのだろうか。
直が振り向いた。
俺を見た。
最後だとしたら、やっぱり笑って最後にしよう。
最後だなんて思いたくないけど。
俺は頑張って笑顔を作る。
直も頑張って笑顔を作る。
直が鍵を開けて、家の中に入った。
「直・・・直・・・な・・・おぉ・・・俺、こわいよ・・・」
直のいない日々が始まる。
また俺は孤独になってしまう。
大丈夫。
元に戻るだけ。
矢沢直に出会う前の俺に戻ればいい。
ただ、それだけ・・・
それだけなのに・・・
怖くて怖くて・・・
涙と震えが止まらない。
直、本当に怖い。
俺、どうしたらいい?
窓から見えた三日月。
直も見てる?
同じものを見てる俺達。
なぁ、直。
俺とお前は一緒にいなきゃだめなんだよ。