助手席の足元に置かれた紙袋。



それは俺へのプレゼントじゃないのか?




「それ・・・くれないの?」



消えそうな声。




「うん・・・渡せない。」



震えた声。





「頼むから・・・くれよ、直・・・」








直はゆっくりとその紙袋を俺に渡した。



手が触れないように、紙袋の端を持って、直は俺に渡した。





「ありがとな・・・お前だと思って、大事にするから・・・」





俺はハンドルに顔を押し付けた。


涙を我慢するのも限界だった。


溢れ出した涙が、抱きしめた紙袋にポタポタと落ちた。





「先生、幸せになってね。今まで本当にありがとう・・・」





幸せになれるわけねぇだろ。



お前がいないと幸せになんてなれないんだよ、直。






バタン――




勢い良く閉められたドア。


走っていく直のヒールの音。