ぎゅっと握り締めた直の手が悲しかった。
直は、自分の両手をひざの上でぎゅっと握って、下唇を噛んだ。
「先生・・・ごめん。決めたんだ。私には・・・・・・重すぎる・・・」
直、嘘だと言って。
嘘だよな。
直は、どんな俺も好きだと言ってくれた。
直は、俺を納得させる為に「重すぎる」と言った。
直、辛かった?
俺と出会って、俺と付き合って・・・秘密の恋愛をしてきて、お前は辛かった?
「何言っても、もうだめか?」
「今まで本当に楽しかった。ありがとう。先生との思い出だけで、一生幸せに暮らせるよ。それくらい幸せだったんだ・・・」
・・・今までありがとう、なんて言うな。
さよならみたいじゃないか。
さよなら・・・するの?
俺と直。