「直・・・何があった?俺のこと嫌いになった?」
直は、うつむいたまま首を横に振った。
直、お前は何を1人で背伸びしてる?
お前はお前でいい。
ただ俺をいつまでも好きでいるだけでいいんだ。
背伸びするなら俺に声かけてくれよ。
俺がちゃんとその手を持っててやるから。
1人で背伸びするから・・・
こけちゃうんだよ。
「先生、私と一緒にいちゃだめだよ・・・」
直、それは違う。
逆だ。
俺は直と一緒にいなきゃだめなんだ。
離れることなんてできない。
「私・・・聞こえてたんだ。昨日の電話・・・」
―――パパ、いっしょにくらそう―――
娘の声を聞いた直が、別れという決断をするのは当たり前なのかも知れない。
だって、
直は優しい子だから。
自分よりも俺のこと、俺の娘のことを想ってくれるような子だから。