もう俺に不安なんてなかった。


一緒にいれば、心が満たされる。



直がそばにいるだけで、俺は幸せな気持ちになれるんだ。





ネットで検索した時に見た店内の写真よりもずっとムードのある店だった。



暗めの照明に、生演奏のピアノの音が心地良い。



案内された席は、カップル向けの席。



観葉植物が並べられていて、周りからは俺達の姿は見えないようになっていた。





キス・・・できっかなぁ。




またバカなこと考えて、1人でニヤける俺。





「乾杯だけシャンパンな。一口だけだぞ!」



俺は、バレンタインのおすすめシャンパンを注いだグラスで直と乾杯した。



直は、一口飲むと頬を赤くして、酔っ払っちゃったぁと甘えた声を出した。




もう少しの我慢。


直が20歳になったら、一緒に酒が飲めるな。

直は、きっと酒が弱いんだろうな。


ちょっと飲んだだけで赤くなって、俺の肩にもたれかかるだろう。



でも、直のお父さんは酒が強いから、もしかしたら直も酒豪になるかも知れない。




そんな未来を想像して、また俺はニヤけた。




「先生、笑ってる・・・どしたの?」



「ん?幸せだなって思ってただけ。」