俺はその夜、2組のカップルの逢瀬を見た。



見て見ぬフリをして、部屋に戻る。



だってさ・・・


一生に一度だよ、修学旅行は・・・




好きな人と過ごしたいと思うのは当然で、俺がもし生徒だとしたら、直と一緒に雪の中を走り回っていただろう。




そして、雪にまみれながら、キスをする。



だから、生徒達のイチャイチャ場面を、見なかったことにした。



学年主任の先生と、直のクラスの担任は、もうすっかりいびきをかいて眠っていた。



俺は、一人でカーテンを開け、ゲレンデを見つめた。




俺の提案したナイタースキーは、まだ実現できていない。


大半の先生が賛成してくれているのに、学年主任が認めなかった。



最後の夜までに、なんとしても実現したい。


俺と直と、そして、みんなの修学旅行を・・・


一生忘れられないものにしたい。