空港でも直を探したが、見つからない。
その時、中田の姿が見えた。
「おはよう、中田!あいつ、知らない?」
いつもくっついてる直と中田が一緒にいないことに不安が広がった。
「先生、おはよ!!今、依子とトイレ行ってるよ。私はここで荷物番!」
中田は、床に置かれた3人分の荷物を指差した。
「そっか。あいつ、元気だった?」
俺は、周りに気を使いながら、キョロキョロしながら言った。
「うん、めちゃめちゃ元気だったよ!テンション高くて3人でずっと笑ってた。」
「おお、そうか。あいつさ、飛行機・・・怖いらしいんだ。俺そばにいてやれないから、頼むな。何かあったらすぐ俺に言って。」
俺があまりに真剣な表情をしていたせいか、中田も真面目な顔で頷いた。
「任せて!先生の代わりに直を守るよ。っていうかさ・・・先生優しすぎ!!」
俺は、中田に背中を叩かれた。
「俺、一番後ろの席だから。じゃ~な!」
「うん!わかった!」
俺と中田がこんな会話をしていても、誰も不審に思わないだろう。
でも、こんな風に直と話すことができない。
同じなのに・・・
もっと、何でもない話題でも、俺はドキドキして、真っ直ぐに直の目を見れないんだよな。
直はそんな俺を笑うんだ。
『先生、普通にしてればいいのに。変に意識しちゃてよけい怪しいよ!』
確かに、そうだ。
バレるんじゃないかって変に意識しすぎて、他の生徒と同じ対応が出来なかった。