俺は別れ際に、真剣に言った。


今、本当に大事な人がいると。


その人とこれからも一緒に生きていきたいと思ってること。



俺達は、もう違う道を歩いているんだってこと・・・






夜中の2時を過ぎても、俺は寝付けなかった。


ベランダに出て、白い息を吐く。



その白い息は月にまで届きそうなほど、白く、

くっきりとどこまでも見ることができた。




薄雲が広がり、だんだん月が見えなくなり、しばらくすると、どこに月があったのかさえわからないくらいに真っ暗になった。




「直・・・」



俺は、明日直に真実を告げる。




どんな場所でどんな言い方をしても、直を悲しませるだろう。


直は驚いて、きっと泣いてしまうだろう。




最初から言っておけば・・・



そんな後悔をしても今さら遅い。



俺は、ふとんに入っても、熟睡できないまま朝を迎えた。