「いろいろ迷惑かけたな。すまんな・・・」



お父さんは、遠い目をして、ポツリと呟く。



いつの間にか、この場所が大好きになっている自分に気付く。


心から落ち着ける場所になっていた。





「教師ってのも大変なんだな。自由に恋愛もできない。どこにいても誰かに見られているんだからな。」




お父さんのその言葉に俺の胸が熱くなる。



本当は、俺は直と恋愛なんてできる立場じゃない。


でも、理解ある家族のおかげで、こうして自分の気持ちに素直になることができた。



こんな家族ってなかなかいない。


自由に恋ができないはずの俺が、今・・・自由に恋をさせてもらっている。



「ありがとうございます。本当に・・・お父さんとお母さんのおかげです。」




お母さんの入れてくれたコーヒーは、少し苦め。


その苦さが俺の目頭を熱くした。