それからしばらくして、始業式に里田と約束した俺の家に遊びに来る話が実現してしまった。



もちろん植田美久と中田ゆかりと・・・直も一緒だった。




『先生の部屋に上がれるなんて夢みたい!』



彼女なのに、そんなことで喜ぶ直に、申し訳なく思う。

前日の電話で、直は興奮気味に言った。



ごめんな、直。

いつも俺は「ごめん」って思う。

我慢ばっかりさせてごめん。



『謝らないでよ!明日、先生の部屋の匂い嗅ぐよ~!』


直は、ご機嫌に電話を切った。



当日、俺は直が自分の部屋にいることが嬉しくて浮かれていた。

みんなにバレないように、平常心を保とうと頑張ったが、俺は宙に浮いたような変な気分だった。


途中、里田がしつこく俺の彼女のことを聞いてきて、険悪なムードになった。



俺に好意を持ってくれていることは、正直に嬉しい。

里田も、直も、俺を好きになってくれた。

ただ、里田と直は、愛し方が違っていた。


直は、そっと・・・


ただ俺を見つめてくれて、俺が元気がないと、声をかけてくれた。


俺の天使のような存在だった。





散らかった部屋を片付けたが、実は、押入れの中に押し込んだだけだった。






4人が帰った後・・・



ケータイが鳴った。