本当はすぐに抱きしめてキスをしたかった。
でも、照れちゃった俺。
「何?もう一回言ってみ?」
そんなことを言って、照れ隠し。
直は、俺のお腹を叩いて、恥ずかしそうに笑った。
それから俺は、キスをした。
久しぶりのキスは、俺の体と心に染み込んでゆくようだった。
改めて、『直が好き』だと感じた。
直、好きだよ。
俺と直は音楽室でじゃれ合いながら、愛を囁きあう。
直は、音楽室に飾られている音楽家達の肖像画を見て、恥ずかしいと言った。
いいよ、見て。
しっかり見ていてくれ。
偉大な音楽家の視線は、
誰にも知られてはいけないこの恋にとって、
ほんの少し快感だった。
誰にも言えない。
隠し続けなくてはいけない。
でも、
しっかり見られてる俺たちの愛。