月がとても綺麗なのに、雲がその月を隠そうとする。
早いスピードで流れる黒い雲が月の前を通り過ぎる。
「本当に助かったよ。ありがとう!」
直の家に到着し、荷物を玄関まで運ぶと、お父さんが俺の肩に手を乗せた。
「じゃあ、おやすみなさい。元気出してくださいね。」
俺が頭を下げると、お父さんがもう一度俺の肩に手を乗せた。
「もう少し一緒にいてやってくれないか…直と。」
お父さんは、寂しそうに俺の隣に立つ直の方を見ながら言った。
直の左手が、俺の服のすそを掴んでいることに気が付いた。
「一杯付き合ってくれよ。だめか?」
お父さんは、手でお酒を飲む真似をして、少し笑った。

