大事な直を泣かせたくない。


悲しませたくない。



「彼氏と喧嘩したからって俺に頼るのはやめてくれないか。七緒のことは一生大事に想うけど、お前とはもう終わってんだから。」



娘の声を聞かせれば俺が折れると思っている。

そういう所も理解できない。


都合の良い時だけ娘を利用すんなよ…




七緒は幸せか?


今は順調に学校へ通っていると聞き、ホッと胸を撫で下ろす。



3年前だったな・・・


幼稚園へ行けなくなったことがあった。


それは子供なりの『SOS』だったんだ。



俺のせいだよな。


ごめんな、七緒。


本当の父親と一緒に暮らせない寂しさを、七緒は一生抱えていくんだ。