オレンジジュース~俺と一人の生徒~




俺、震えてる…





矢沢の頭を撫でる手が、

震えた。



「ごめんな・・・何もかも一人で決めて、結論出して・・・お前に辛い想いさせちゃった。」



もうこんなに近くに矢沢を感じることはないと思っていた。



もう俺は一生教師を演じなくちゃいけないんだと思っていた。




「先生・・・やっぱり、先生じゃないと・・・だめ。」




俺は温かさを取り戻した矢沢の体をぎゅっと抱きしめた。



「俺、もう離れたくない。こんなに好きなのに、離れるなんてできねぇよ。」



満月が視界の端に入った。





「私も、離れたくない。先生じゃないとだめ・・・」