オレンジジュース~俺と一人の生徒~




車に乗って、矢沢が言った『山本商店』という店を探した。




1時間くらいだろうか。


俺は無我夢中で探した。




おい、頼むから、俺に力をくれ。



愛する人のいる場所を察知できる能力をくれ。





やっと見つけた。




月はぼんやりと俺を見ていた。


俺は真冬の夜に、汗をかいていた。





電話BOXの中で小さくうずくまる矢沢を

しっかりと抱きしめた。



冷たくなった体に俺のたくさんの愛を送ろう。



もう大丈夫だから。



俺が迎えに来たぞ。



スーパーマンなんてかっこいいもんじゃねぇけど。


みっともないし、

弱いし、未練たらたらで、かっこ悪いけど、


スーパーマンにも負けない『愛』だけは持ってるから。