どうしてもっと

向き合えなかったんだろう。



心のどこかで


俺は隠し続けることも考えた。




大事な大事な「なお」のこと。




俺の最大の秘密。


俺には


娘がいた。




一度も一緒に暮らしたことのない、遠い場所にいる娘。



偶然にも娘の名前も「なお」だった。



『七緒』


漢字は違う。




でも、心の中で話しかける響きは同じなんだ。




俺の大事な二人の「なお」




どちらも


もう俺のそばにはいないけど。






失ってしまったけれど、


一生俺の宝物。