その日の放課後、矢沢のクラスの男子が教室で話をしていた。




通りがかった俺を呼び止めたのは、山本。



「新垣先生、彼女いんの?」




生徒からのこういう質問には、もう慣れた。



「いるよ、いっぱいな!」




教室に集まっていた男子6名。



彼女とうまく行っていないと言う山崎って生徒が俺に言った。




「彼女のことも好きなんですけど、他に気になる子ができて…どうすればいいの?先生。」




高校生は恋多き年頃。


今の俺には考えられないが、当時は同じような悩みもあったっけ。




「それは、お前が一人で悩んで結論出すしかねぇな。ただ、好きでもないのに付き合ってるのは相手に失礼だぞ。」



俺のアドバイスを聞いてるのか聞いてないのか、山崎は言った。



俺の一番聞きたくないことを。