人魚は昔、碧い星の王子様に恋をした。

         *

一日中。
海の上で空ばかり見ていた。

何にもなくて。
ただぼんやりと。

面白いコトなんて何ひとつないし。
周りは青ばかり。

変化があると言えば、空の顔とか波の顔。
それはそれで、見てて飽きなかったの。

だけど、退屈だった。


人間にも
魚にも
なれなかった…それが人魚。

だから

人間のように歩くコトも
魚のように泳ぐコトも
出来なくて。

別に不満はなかったけど。
何故だか悲しかった。