「・・・あ・・・あのー、中野薫さんですか?」

思わず声をかけて

振り返る、女性

不思議そうなご主人

「不躾に申し訳ありません」

私の、意味不明な言葉尻をとり、サングラスを取りながら

けいちゃんが話だし

けいちゃんをみて、驚いた様子のご夫婦は

あたらめて、私を見て、

女性が涙しながら、手を握ってきた

「・・・あなたが、一条桜さんですか?」

私も思わず握り返しながら

「・・・はい・・・グズ」

このあと慰霊祭に出るというご夫婦に

夕食をと、連絡先を渡し

もう一度事故現場に、祈りを捧げた

奇跡の出会いに

感謝しながら